TOKAIグループって、何者?:03
「東海造船運輸の現場から“船舶修繕の裏側”」
2026年10月13日

「TOKAIグループ」と聞いて、LPガスやインターネット、ケーブルテレビなどを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、私たちの事業フィールドはそれだけにとどまりません。実は静岡の美しい海や港の安全を、陸の上から支えているグループ会社があります。それが「東海造船運輸株式会社」です。


東海造船運輸では、船を一から造る「新造」ではなく、すでに活躍している船の点検や修理を行う「船舶修繕」を主に手がけています。いわば、海の交通や漁業を支える「船の主治医」。
日本有数の水揚げ高を誇る焼津港に位置する同社。漁船が水揚げ後、すぐにドック(船の修繕施設)入りできる利便性から、日本全国の漁船がここを利用しています。
皆さんが普段口にしている美味しいカツオやマグロは、もしかしたら、東海造船運輸がメンテナンスを手掛けた漁船が獲ってきた魚かもしれません!?
このたび、造船事業部の杉本部長、総務課石原課長、山本係長のご協力のもと、同社の施設やドックの見学・取材を行う機会をいただきました。普段はなかなか目にすることのない船舶修繕の現場、そのリアルな作業風景と、高い技術力を誇るプロフェッショナルたちの知られざる魅力と役割について掘り下げていきたいと思います。
「修繕」にこだわる! 船の“主治医”としての役割
船は一度海に出ると、海水による腐食や波の強力な衝撃、貝類などの生物の付着など、常に過酷な環境に晒されています。
どんなに頑丈に造られた船でも、定期的なメンテナンスや急な不具合への対応が欠かせません。
東海造船運輸のドックには、地元はもちろん全国の漁船や作業船、巡視船など、多種多様な船がやってきます。船を海から船台へと揚げたり(上架(じょうか))、プールのような施設に入渠(にゅうきょ)させて、船底についたフジツボや貝類をきれいに洗い流すことから整備が始まります。

作業内容は、エンジンの分解整備、舵やスクリューの調整、船体の溶接や塗装まで多岐にわたります。
定期検診から緊急手術までこなす姿は、まさに頼れる「船の総合病院」そのものです。

自動車に「車検」や「法定点検」があるように、船も法律で定められた定期検査が義務付けられています。これは「船舶検査(通称:船検・せんけん)」と呼ばれ、海の安全を守るための重要な制度です。
船の用途や大きさによって検査のサイクルは細かく決められており、常に安全に航行できる状態を保つため、毎年のペンキの塗り直しドックや各種メンテナンスのために数年に一度は必ず隅々まで点検を受けなければなりません。
| 船の種類 | 定期検査(本検査) | 中間検査* |
|---|---|---|
| 大型船舶・大型漁船 | 5年ごと | 毎年など |
| 旅客船(大小問わず) | 5年ごと | 毎年(1年ごと) |
| 小型船舶・小型漁船 | 6年ごと | 3年目に1回 |
私たちが観光などで乗る旅客船も毎年しっかりと検査を受けていると知ると、少し安心しますよね。東海造船運輸では、こうした検査基準をクリアするための緻密な点検・整備を日々行っています。
圧倒的スケール!いざ、修繕ドックへ潜入
現場に到着してまず驚くのは、陸に揚げられた船の圧倒的な大きさです。
見上げると、まるでビルのように巨大な船体が目の前にそびえ立っています。
普段、海に浮かんでいる姿しか見ることのない船ですが、こうして陸に上がった船の全貌を目の当たりにすると、その迫力に誰もが思わず息をのむほどです。


今回修繕作業中のマグロのはえ縄漁船の中も案内してもらいました。
特別に撮影させていただいた貴重な写真を紹介します。
上架作業と、船底の高圧洗浄のタイムラプス動画を提供頂きました。(全画面表示推奨)
上架作業 | 船底の高圧洗浄の様子 |
一筋縄ではいかない! 現場を支える職人技とチームワーク

「船舶修繕の面白さは、二つとして同じ仕事がないことです」と現場のスタッフは語ります。
自動車のように規格化されたパーツを交換するだけでは済まないのが船の世界。年式も違えば構造も異なり、長年の航海で生じた歪みや傷も一隻一隻違います。
そのため、熟練の職人たちが目視や音、手触りで状態を見極め、時にはパーツ自体を加工してぴったり収めるという緻密な手作業が求められます。
ベテラン職人の手仕事を見つめる若手社員の眼差しも真剣そのもの。現場では長年培われた「職人技」が惜しみなく若手へと継承されています。
一人ひとりの技術力と、声を掛け合いながら安全に進めるチームワークが、高い修繕クオリティを生み出しているのです。
- Q1「定期点検で最も気を遣うポイント」は何でしょうか。
機関課 山下係長
工事中の船の予定は、造船所の関わる修繕工事以外の予定や、天候、部品の納期などにより、日々目まぐるしく変わります。
全ての船の工事の内容と設備を照らし合わせて、何を優先しどうするのが最善か、社内各所はもちろん関係各所と連携を取りながら、毎日の作業を行っています。 - Q2これまで修繕を手掛けた中で、特に難易度が高かった、あるいは達成感のあったエピソードを教えてください。
船体課 海野係長
船首下部を破損して入港してきた船の外板を大規模に切り替える工事をした事がありました。
新造船のような正式な板割りどおりのサイズで切り合わせる経験が少ない上、天候不順で工事日程もひっ迫する中、現場の職人と協力しながら完工させた際の達成感はひとしおでした。 - Q3若手社員さんに質問。先輩の技・仕事ぶりを見て「敵わないな」と思った瞬間はありますか?
上架 鈴木係員
船を上架する時に、船の位置や動きを見ながら的確に指示を出している時です。
自分はまだまだ作業することで精いっぱいになってしまいますが、先輩は周りの状況まで把握して少しの変化等を見逃さず、対応しています。
海はいつも全く同じ状況ではないので、船の上下架や入出渠は経験がものを言います。
自分ももっと経験を積んで、落ち着いて作業できるようになりたいです。 - Q4船の修繕において、最も神経を使う作業や「ここだけは譲れない」というこだわりはありますか?
塗装係 土井係長
塗装は船を守るために非常に重要な修繕工事です。下地処理や膜厚管理、船体の状態に合わせた塗装仕様にこだわり、作業をしています。当社には建造から間もない船から30年経過した船まで多様な船がやってきます。
特にその船の状態に合わせたオーダーメイドのような最善の仕上がりを目指し、日々塗装作業を行っています。 - Q5長年船を見てきて、昔と今の船の構造や求められる修繕内容に変化はありますか?
工務部 芝部長
近年は船員のための設備(Wi-Fi環境等)を充実させるための工事が増えたように感じます。若い船員や外国人も増える中で、通信環境や居住区(個室など)をより快適にする必要性があるのかもしれません。
また機器の電子化が進み、機器がコンパクト化したことも居住区にスペースを割けるようになった理由の一つだと思います。
巨大な構造物を動かす情熱。
モノづくりのロマンと、ここでしか味わえない達成感がある
日常ではなかなかお目にかかれない、スケールの大きな現場。東海造船運輸の仕事の魅力は、何と言っても「巨大なモノを動かし、創り上げる」圧倒的なダイナミズムにあります。
巨大な構造物や機械を目にすると心が踊ったり、自分で手や頭を動かしてモノづくりをする事が好きなら、ここは間違いなく最高のフィールドです。扱う対象が大きい分、求められるチームワークや技術の精度も高くなりますが、その分だけ無事に現場をやり遂げたときの達成感は格別。「自分がこの大きな仕事を成し遂げたんだ」という誇りと手応えは、他ではなかなか味わえません。
「スケールの大きな仕事に挑戦してみたい」「モノづくりの原点にあるワクワク感を現場で体感したい」――そんな想いを抱いているあなた、東海造船運輸の門をたたいてみてはどうでしょう。
海の安全は、地域の暮らしの安全。
私たちが船舶修繕にかける想い
修理を終え、ピカピカに磨き上げられた船が再び海へと戻っていく(下架)瞬間は、社員にとって特別なひとときです。
「無事に出航していく船の後ろ姿を見送るときが、一番ホッとするし誇らしい瞬間です。あの船が美味しい魚を獲ってきたり、海の工事を安全に進めてくれたりするんだなと思うと、自分の仕事が地域の役に立っていると実感できます」
私たちが普段何気なく食べている魚や、安全に保たれている港の風景。その裏側には、船の主治医として今日も黙々と工具を握るプロフェッショナルたちの姿があります。
TOKAIグループはこれからも、陸の上だけでなく「海の上」でも、地域と人々の安心・安全な暮らしを支え続けていきます。

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