TOKAIグループって、何者?:01(前編)「東海ガス びく石山静かな夜のキャンプ場」

静岡県藤枝市瀬戸谷地区にある“びく石山静かな夜のキャンプ場”。TOKAIグループで、主に都市ガス事業を行っている東海ガス株式会社が、2024年3月にオープンしたキャンプ場です。

どうしてキャンプ場なのか、どんな場所なのか、気になるあれこれについて、実際にキャンプ場を訪れ、現地で働く社員に話を聞いてみました。

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Stories_camp-02.webp▲キャンプ場で勤務するT.K.さん

今回お話を聞いたのは、オープン当初からこのキャンプ場で勤務しているT.K.さん。普段は、所属している課内の勤怠管理といった庶務から、キャンプ場の維持管理業務、対外的なプロモーション企画など、幅広く担当しています。キャンプ場に配属される前は都市ガスやLPガスの営業をしていたとか。

どうしてキャンプ場なのか

Stories_camp-03.webp▲キャンプ場近くで流れる瀬戸川

東海ガスがどうしてキャンプ場を始めたのか。きっと疑問に思う人は少なくないはず。どのような経緯だったのでしょうか。

T.K.さん「 キャンプ場がある藤枝市の中山間地域*は市の7割を占めていて、高齢化が進んでいる地域です。現在、その中山間地域にある陶芸センターを中心に、藤枝市は”ふじえだ陶芸村構想”を掲げています。中山間地域の交流人口の拡大や、新たな雇用機会の拡大を目的として、持続可能な地域を目指すというものです。

この構想が始まった頃、ちょうど東海ガスでは、新しい意見をどんどん社員から出して、新たな事業を展開していこうという動きがありました。アウトドア事業の他にも、宅配サービスやクリーニング事業など、今までやったことのなかった事業を始めたのも、このタイミングです。

藤枝市に本部があり、藤枝市のライフラインを担っている東海ガスだからこそ、中山間地域活性化を通じて地域貢献を果たせるのではないかという思いが、藤枝市の構想と重なりました。」

*中山間地域:都市と山地の間にある自然豊かな居住地域。

Stories_camp-04.webp▲管理棟のそばにある東屋

もともとここは「びく石ふれあい広場」という、芝生の広場だった場所。長い間地域の人々が利用していた東屋は、キャンプ場となった今も同じ場所に残っています。

T.K.さん「陶芸村構想のなかで、藤枝市としては自然豊かなこの土地をもっと活用していきたいという意向がありました。藤枝市陶芸センター(https://www.f-tougei.com/)の周りで、利用者の方が滞在できるような環境を作れないか検討を重ねた結果、たどり着いたのが、キャンプ場です。」

まずは存在を知ってもらうこと

Stories_camp-05.webp▲コテージ外観*オープン時撮影

東海ガスにとって、アウトドア事業は初の挑戦です。キャンプ場に関する知見はなく、まずは社外の専門家に話を聞くところからのスタート。情報を集める中で、キャンプ場をいくつもプロデュースしてきた会社の存在を知り、計画段階から協力をお願いすることになったのだとか。そうして多方面でプロの力を借りながら、2024年3月、びく石山静かな夜のキャンプ場がようやくオープンを果たします。

ところが次に立ちはだかったのは、”認知度”をどう広げるか、という課題でした。

T.K.さん「地域の方が立ち寄ってくださることも多いのですが、”キャンプ場ができていたことを知らなかった”という声をいただくことがあります。まだまだキャンプ場が認知されておらず、その難しさを痛感しています。」

Stories_camp-06.webp▲びく石山静かな夜のキャンプ場のパンフレット(PDF版)

T.K.さん「PR活動はかなり力を入れて取り組んでいます。近隣の温浴施設やスーパーのほか、スポーツショップなどのアウトドアに興味のある人がいそうな場所にお声がけして、パンフレットやポスターを設置してもらっています。県内の店舗だけでなく、県外の店舗にもお願いすることもあります。

他にも、モンベルさん、WILD-1(ワイルドワン)さんのような登山やキャンプ道具を扱うお店とフレンドショップ(お店の会員であれば、協力店が会員証の提示などによって割引や特典サービスを提供する制度)等の契約をして、各店舗に優先的に置いてもらっています。 当キャンプ場では、フレンドショップの会員証を見せていただければ、TOKAIが扱っているお水をプレゼントしています。」


たしかに、立ち寄ったお店に自分が好きなジャンルのパンフレットが置いてあると、自然と手に取って見るという経験はよくあります。実際、効果としてはどのようなものなのでしょうか。

T.K.さん「やっぱり影響はあります。”アウトドアショップで紹介してもらったので来てみました”というケースもあれば、そのお店の店長さんが、実際にこちらのキャンプ場に来てくださったこともあります。どういう所なのかきちんと知っていただいたうえで、お客さまに説明していただけるのは、本当にありがたいことですね。

紙媒体への掲載も、積極的に行いました。昨年、全国のオートキャンプ場が載るような、キャンパー内で有名な雑誌にも掲載いただいたときは、他のメディアからさらにお声がけいただくこともありました。

インスタグラムの公式アカウントもつくり、ここで一緒に働くスタッフが毎日更新してくれています。ユーチューバーの方に来ていただいて、紹介いただくこともありました。やっぱり、SNSの効果は大きいです。実際、タグを辿って知ってくださったお客さまもいらっしゃいます。」
Stories_camp-07.webp▲「びく石山静かな夜のキャンプ場」公式Instagramアカウント(@bikuishiyama_camp)

地域と歩みを重ねて

キャンプ場を運営していくなかで、周囲との協力は欠かせないもの。中山間地域の陶芸村構想から始まったこのキャンプ場では、どのように地域と関わっているのでしょうか。

T.K.さん「キャンプ場内の維持管理業務の一部(清掃業務)を陶芸センターに外部委託し、地域の方々にキャンプ場の業務を行っていただいています。」

Stories_camp-08.webp▲コテージ(ワイルドビリー)内観*オープン時撮影

T.K.さん「また、月に一度「瀬戸谷地区活性化協議会」という定例会を実施しています。陶芸センターさんや、瀬戸谷温泉ゆらくさんなど、キャンプ場を含む中山間地域の各拠点が参加していて、瀬戸谷地区の活性化について協議します。例えば、「瀬戸谷をお得に楽しむ割引券」というものがあり、この利用状況についても定例会で共有します。各施設で配布した券が、次にどこで使用されたのかがわかるので、地域の交流人口を増やす糸口としています。」

Stories_camp-09.webp▲瀬戸谷地区にある施設を利用してくれた方に1枚お渡ししている割引券。対象の施設であれば50円割引されます。

T.K.さん「ほかにも、“せとやコロッケ”という地域のグルメについても議題に上がります。このコロッケには、瀬戸谷地区の特産品であるしいたけが入っているのが特徴です。瀬戸谷温泉ゆらくさんの食堂や、大久保キャンプ場さん、藤の瀬会館さんの3拠点で提供されています。訪れる場所ごとに異なる味を楽しめるよう、各施設で味付けを変えています。

こういった施策や、地域で行うイベントなど、各拠点が一体となって地域全体を盛りあげる取り組みがここから生まれています。」

人と地域をつなぐ場所として

瀬戸谷地区の滞在・宿泊・情報発信の役割も担う“びく石山静かな夜のキャンプ場”。その管理棟には、瀬戸谷地区をはじめとする藤枝市のパンフレット、地域で開催されるイベントのチラシなどがずらりと並んでいます。

Stories_camp-10.webp▲管理棟入口付近のスペース

T.K.さん「もともと、ビジターセンターの役割も想定して作られた場所なので、ここの管理棟は宿泊者だけでなく、地域の方も利用できる場所として24時間開放しています。ふらっと立ち寄っていただいた方には、周辺施設のご案内や、藤枝市内のイベントをお知らせしたり、登山される方には、休憩場所として使っていただいたりしています。一般の人も使えるWi-Fiを設置していて、キャンプ場のお客さまが滞在中、いわゆるワーケーションのように、パソコンを使って仕事をされていたこともありました。」

Stories_camp-11.webp▲管理棟の内観

T.K.さん「藤枝市主催のイベント会場として、キャンプ場を使用いただいたこともあります。他にも、社外の団体からお声がけいただき、新たなイベントも計画中です。できる範囲で、地域の方や団体にも活用していただけるように努めています。

今後、陶芸センターは、瀬戸谷温泉ゆらくの横に移設される予定です。そしてそのエリアには、新たな道の駅が2026年の春にオープン予定となっています。道の駅を訪れた方が、陶芸センターや、温泉、キャンプ場にも足を運んでいただくことで、瀬戸谷地区を楽しんでいただき、中山間地域全体の交流人口をもっと増やせたらいいなと思います。」

Stories_camp-14.webp▲キャンプ場から川の方へ階段を降りた辺りに設置されている周辺地図の看板。そこから少し歩いた先に、カフェなど小さなお店が並ぶ”ゆるびく村”があります。

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キャンプ場という役割にとどまらず、地域に溶け込んでいく関わり方に、TOKAIグループならではの姿勢を感じました。陶芸センターの移設に、道の駅の建設、キャンプ場を含む中山間地域にとって、新たな追い風になりそうな予感がします。

つづいて後編では、キャンプ場のコンセプトについてお話を聞いてみました。

この記事で登場した人
T.K.

東海ガス/2020年入社
キャンプ場に一人でも多くのお客様が来てもらえるよう日々奮闘。最近の趣味は休日のジム通い。好きな食べ物はラーメンです。

この記事を書いた人
みわ

TOKAIホールディングス 広報・IR部 / 2021年入社
「Stories」でTOKAIグループにまつわる様々な情報を発信しています。読んでくださる皆さんの「なるほど!」や「ちょっと参考になる」をお届けできればうれしいです。好きな食べ物は餃子。ときどき山に登ります。

取材先
びく石山静かな夜のキャンプ場

静岡県藤枝市瀬戸ノ谷5610

https://www.bikuishi.jp/