ケーブルテレビの心臓部「ヘッドエンド」を知っていますか?
2026年02月10日

TOKAIグループでは、静岡県・東京都・神奈川県・千葉県・長野県・岡山県・宮城県・沖縄県の1都7県で、CATV事業を展開しており、常に安定したサービスをお届けできるよう、日々のメンテナンスを徹底するとともに、災害等の緊急事態に備えたBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)にも力を入れています。
台風などの影響を受けやすいアンテナを使用しないケーブルテレビは災害に強いと言われており、ケーブルテレビ局特有の地域密着のコミュニティーチャンネルを活用し、災害発生時には地域の重要な情報インフラとしての役割も果たします。
そんなケーブルテレビ局の心臓部ともいえるのが「ヘッドエンド」と呼ばれる設備です。
今回はその「ヘッドエンド」について、倉敷ケーブルテレビにおける過去の災害被害の経験も踏まえてご紹介します。
ヘッドエンドとは
ヘッドエンドとは、ケーブルテレビ局においてテレビ放送(地上波、衛星)やインターネット、ラジオ放送などの情報を受信・集約し、それらをケーブルを通じて視聴者の家庭まで配信する役割を担う中心設備です。
▲ヘッドエンドイメージ図
メインヘッドエンドから繋がるサブヘッドエンドは各地域に設置されており、メインヘッドエンドから送られた情報の受信・処理拠点として、放送を途切れさせないための重要な機能を担っています。
平成30年7月豪雨による被害
平成30年(2018年)7月に発生した豪雨は、西日本各地で大きな被害をもたらしました。
特に倉敷ケーブルテレビのサービスエリアである岡山県倉敷市真備地区では死者51人、住家被害は5,977棟にも及ぶ甚大な被害となりました。
そしてこのとき真備地区を収容するサブヘッドエンドも完全に水没し、放送サービスが全面停止するという深刻な事態が発生しました。
▲水没したサブヘッドエンドの内部
水が引くまでの2日間は、浸水を免れた地域で光ノードの収容替え*やアンテナ直結などの応急処置を行いました。
その後、車両内に仮設のヘッドエンド設備を設け、約1週間でサービスを復旧しました。
* 光ノードとは、光信号の管理や制御を行う装置のこと。収容替えでは、被災した装置から別の装置へ光回線を付け替える作業を行いました。
▲水没したサブヘッドエンドと仮設のヘッドエンド設備を載せた自動車両
通常、重要な設備の設置は自治体の発行する災害ハザードマップ等を参照して設置場所や床高を決定しています。
しかし被災した真備地区のサブヘッドエンドはまだ自治体からハザードマップなどの情報提供がされる以前に設置されたものでした。
設置後に公表されたハザードマップの浸水想定区域は、真備地区が実際に被災した範囲とほぼ一致しており、災害対策が間に合わなかった点を反省し、最新の情報を活用した災害対策の強化に取り組んでいます。
真備地区のサブヘッドエンドはハザードマップを活用して元の場所から北へ約3kmの高台へ移転させ、その他の既存設備についても災害リスクの点検・対策を実施しています。
ヘッドエンドのBCP対策「移動ヘッドエンド」
倉敷ケーブルテレビでは更にBCP対策を進めるなかで、真備地区の復旧の際に車両内に仮設のヘッドエンド設備を設けて対応したことを参考に「移動できるヘッドエンド」の案が浮上しました。
あらかじめ車両にヘッドエンド設備を搭載しておけば、災害でヘッドエンド設備が停止した際に即座に代替機能を提供することができます。
製作には2019年9月から翌年の3月までの約7か月をかけ、費用は中古の中継車や予備品を活用することにより合計約960万円という低コストで実現することができました。
外部電源未使用で連続12時間運転でき(外部電源の接続も可能)、HFC/FTTH*の双方に接続可能な構成としたことで、グループ会社や他のケーブルテレビ局でも幅広く利用できます。
* HFC/FTTHとはケーブルテレビの伝送方式のこと。HFC(Hybrid Fiber-Coaxial)は光ファイバーと同軸ケーブルを併用した方式で、FTTH(Fiber To The Home)は光ケーブルのみの方式です。FTTHは通信速度が速く安定しているため、現在HFCからFTTHへの移行が進められています。
▲製作した移動ヘッドエンド
この移動ヘッドエンド車両は、平時には第二中継車として活用しており、ヘッドエンドとしての機能だけではなく中継機能も積載することで、災害現場などでの迅速な報道体制を整えることも可能になっています。
もちろん災害現場だけでなく、地域のお祭りやスポーツイベントの中継等でも活用しています。
最後に
いかがでしたか。「ヘッドエンド」について知らなかったという方も多いのではないでしょうか。
ヘッドエンドはケーブルテレビ局にとって非常に重要な設備になります。
自然災害やサイバーセキュリティ等様々な脅威が増加している今、BCP対策の重要性も益々高まっています。
日々のメンテナンスによる設備の維持管理、そして緊急時の運用訓練を行いながら、今後も安定したサービスを提供できるよう努めてまいります。

- この記事を書いた人
- ふかさわ
TOKAIホールディングス/2008年入社
趣味の写真撮影や推し活に日々勤しんでいます。アイコンは我が家の玄関を飾る盆栽のぬいぐるみです。Storiesではグループの幅広い事業活動を分かりやすくご紹介していきたいと思います。
